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【知識人インタビュー①】植物栄養学第一人者である京都大学農学研究科の間藤教授にお話を伺ってきました。

  • 2016.10.25

植物栄養学第一人者である京都大学農学研究科の間藤教授にお話を伺ってきました。

京都大学農学研究科の間藤教授〔右〕と弊社社長の石井

京都大学農学研究科の間藤教授〔右〕と弊社社長の石井

 

  • 間藤徹教授プロフィール

    京都市で生まれ、広島で育つ。1972年広島市の修道高等学校を卒業し、同年京都大学農学部農芸化学科入学。1977年同学科を卒業し京都大学大学院農芸化学専攻入学。1982年同博士課程修了(農学博士)し、京都大学農学部農芸化学科植物栄養学研究室助手、1994年同助教授を経て、2006年同教授に就任。2010年より総合地球環境学研究所客員教授も務める。
    研究テーマは植物の無機栄養元素、熱帯東南アジアの農業。環境負荷を低下させつつ収量を増加させる農業について研究している。またホウ素過剰とカリウム欠乏に耐性をもつイネの育種を進めている。

 

安全な野菜の基準って?

さて、皆さんは「安全な野菜」と聞いて何をイメージするでしょうか?おそらく「無農薬・有機野菜」 この答えを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

この答え、決して間違いではありません。

事実、141selectでお取引をさせて頂いている農家さんの多くは無農薬、有機農法で野菜を生産されていますし、有機JAS認証を取得されている農家さんもいらっしゃいます。

ただし。それが答えの全てでは無いですし、必ずしも「無農薬・有機=高品質で安全」とは限りません、というのが今回のテーマです。

 

京野菜がなぜ高いブランド力を持っているのか?間藤教授より質問が上がりました。

瑞々しい京野菜

間藤教授は学術的な探求だけではなく、実際の農業に役立つ研究を目指されています。
地元京都に有機農家さんから指導を受けて実際に農作業も行っている行動派です。

まず間藤教授から問題を出されました。「京野菜はなぜ高いブランド力を持ち、高品質な野菜を生産し続けていると思いますか?」

考えます。パッと浮かんだ考えは「土壌や気候条件が良いから」という事でしたが、果たして正解はどうでしょう?

間藤教授
「種は当然大事だと思いますよね?賀茂茄子など、京野菜独自の種。でも現代社会では種は買うもの。
大手の種メーカーが京野菜の種も供給していますから、別に全国どこでも京野菜の種は手に入るんです。」

よって、種は違う。

間藤教授
「すると、土壌でしょうか? 確かに京都は農業に適した土地と言えるかもしれませんが、そもそも200万年前は大阪湾の一部として海の底にあった土地。
決して最高の土壌とまでは言えず、これも決定打にはなりません。」

土壌も違うようです。残念…。

間藤教授
「では気候条件?確かに寒暖差は野菜を甘くする条件ですが、それにしても京都の夏は暑すぎる。
例えば茄子などは暑さで萎れてしまうほど。これも決して最高の気候条件とは言えません。」

気候も違う?これは難題です。

 

答えは、「千年の間に美食家達をうならせたお百姓さんたち、つまり『人』によるものなんです!」

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間藤教授
「もったいぶってしまいましたね。正解は、農家の腕前。つまり人です。
こんな事を言うと科学的でないと思われるかもしれませんがね。私にはそうとしか思えないです。
農業は自然環境との共存。昨年成功したやり方が今年通じるとは限りません。それでも、美味し く安全な野菜を提供しなければならない。
特に京都は古来からの都。古くは皇家や公家、大名。最近では高級料亭に使用する野菜を提供して来ました。
当然、彼らの舌は厳しい。自然環境がどうあれ、その厳しい要求に応える事を求められます。

京都は千年の都。千年の間、日本随一の美食家達の要求に応えて来た農家が持つノウハウ、技術は生半可なものではありません。
どんな農家が作った野菜なのか。それが一番大事なんです。

それが有機だの何だのというのは二の次。彼らだって、適量の化学肥料も使うし、自然環境の問題でどうしようも無い時は少量ながら農薬も使う。
でも、これは専門家の立場からしても、それが健康に害を及ぼす可能性は皆無だと考えています。

結局、信頼出来る農家が作った野菜が一番美味しいし、安心して食べられる。
現代の消費者にとっても、そんな農家を見つける事が大事なのではないでしょうか?」

私達もこれまで多くの農家さんを訪問して来ました。
もちろん、無農薬・有機は一つの素晴らしい答え。でも、それ以外にも優れた仕事をしている農家さんは存在するんです。
得てして、彼らの野菜はとても美味しい。

 

本当の〝有機農業の実態〝を明かしてくれた間藤教授

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間藤教授
「有機農業とはあくまでストーリーなんです。循環型の食文化を目指しましょう、という話。

生態系における物質循環に基づいた農法で、食料生産の本来の姿を表したものです。
それ自体は大賛成ですし、是非とも推進すべき考えだと思います。

ただ。その理を無視して、輸入資材等を使いながら宣伝の為だけに「有機農業です」と我が物の顔で主張する農家さんには正直違和感を覚えます。」

有機農業の本来の意味と、現在よく使用される有機農業という言葉。
この二つが乖離してしまっている、と。でも「その理を無視して」というのはどういう事でしょうか?

間藤教授
「例えば、こんな事がありました。 ある農家さんでの話です。こちらの農家さんはJAS有機認定を取っています。
そちらの農家さんでは牛糞を肥料として使用して、茄子を栽培していました。 ところが、この茄子が次々と枯れていってしまった。
何故か?

答えは牛が食べていた藁にありました。

この藁はアメリカから輸入した物です。現地では、藁の中に特定品種の茄子が生えて来て、藁の生 育が邪魔されてしまう事がよく有るようで。
茄子にのみ通じる除草剤を撒いていたそうです。
その除草剤が肥料となっても生き続け、長野の茄子を枯らしてしまったそうです。
間接的に除草剤が入った野菜ですが、それでもこの茄子は有機JAS認証なんですね。

他にも、有機肥料としてよく使われる油粕。 これ、ほとんど中国産などの輸入物が使われているのが現状です。

地産地消どころか、海外からの輸入資材を多用して、動物性肥料の場合は危険な薬品が混入するケースも有る。
これは循環型の有機農業と呼べるのでしょうか?」

自分たちが消費した物を肥料として再利用して、循環型の食糧生産を目指す。
資材として「有機」と名の付いた資材を購入しているのは、本来の意味の有機農業から逸脱して いるのでは無いか?そんな問題提起をされています。

間藤教授
「逆に、本当に循環型の有機農業をやろうと思うと、限界があると思います。
循環型の有機肥料だけでは土壌への栄養が全く足らないはずです。

それを補助する物として、海外から輸入された正体の良く分からない有機肥料を使うか。化学 肥料を使うか。
もちろん、化学肥料の使い過ぎは土壌への悪影響が考えられますが、化学肥料は必要成分だけを抽出している為、非常に調整がしやすく、不純物や複合物が混入していない分、 安全とも言えます。」

最初にお断りしておくと、間藤教授は化学肥料の研究者でもいらっしゃいます。
その立場からの見解、という事はあるでしょうが、それでも私達は説得力を感じました。

 

化学肥料と有機肥料をバランス良く使うことで理想的な土づくりが生まれる?!

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ここで当然の疑問が。 皆さんも、こと食物に関して「化学」と名が付く物には拒否反応が出るのではないでしょうか?
そこで思い切って失礼な質問を。

化学肥料って、土壌への悪影響は無いんでしょうか?海外から輸入された資材とはいえ、有機肥料の方が美味しく安全な野菜を作れるのでは無いですか?

間藤教授
「確かに、化学肥料を過度に使用をすると悪影響も考えられます。化学肥料の特徴は水溶性の高さ。
つまり、作物が吸収しやすく即効性が有る代わりに、土壌へも 溶け出しやすい。
土壌が化学肥料により栄養過多となると、様々な悪影響が有ります。

ただ実は、これに関しては有機肥料も同じ。あまりに肥料を与え過ぎると、土壌が栄養過多となり同じく様々な悪影響が生まれます。

土地には土地の力が有ります。

例えば、関東ロームは古来から土に藁が入っており、言わば天然の肥料が入った土。

この土地であれば無肥料農業も可能でしょう。但し、食味を上げるには特 定の栄養素を足す必要が有ると思われますが。

一方、関西圏は土地の窒素保有率が低く、無肥料農業は現実的ではありません。
その代わり、野菜を美味しくする元素は関東より高く保有しています。

このように、土地によって元々持っている潜在力が違う。
美味しく健康に良い野菜を作るには、その土地に足りない元素を肥料で適切量足す必要があります。
有機肥料のみでは、適切量の調整が非常に困難です。」

確かにこれは様々な土地に伺って感じたこと。
その土地にはその土地の特徴が有る。これが農業の難しさでも面白さでもあると思います。

適度な栄養を与えるにしても、化学肥料はやはり土壌や環境への悪影響を与えやすいので過度な使用は禁物。

かと言って、有機肥料も環境への影響がゼロという訳では無いしコントロールが難しい。
最近は環境への影響が少ない化学肥料も開発されたようですが、特殊な技法を使う為コストが高い。どの方法も一長一短です。

間藤教授
「こう言うと、有機農業を批判して化学肥料を推進しているように聞こえますが。 決してそうではありません。
本当の意味での有機農業。つまり、循環型農業。これは目指すべき姿だと思います。

でも、現実問題、それだけでは味が悪く、収穫量も少なかったりする。
その為のサポート役として、化学肥料も視野に入れてはどうか?と思うのです。

妄信的に有機で無いとダメ。堆肥で無いとダメ。
むしろ自然農法。と言うのではなく、 広い視野を持ち、幾つかの選択肢の中からその時のベストを選ぶ。

それが正しい姿勢なのでは無いでしょうか?」

 

間藤教授が実行している「人と人をつなぐ」有機農家さんとのプロジェクト

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実際、前述の通り間藤教授は地元京都の有機農家さんと交流を持っており、 現場の声を聞き、現状を見た上で話をされています。
良い物を伝えて行きたい、日本が誇る農文化を伝えて行きたい、という想いも強く 現在は「フランスで京野菜を作るプロジェクト」を推進中。
ノルマンディに広大な土地を借り、現地で日本人の手によって京野菜を作っています。

そんな間藤教授から出てくる言葉だからこそ、説得力を感じました。

もちろん私達も「化学肥料だけで農業をやろう!」とは思いません。やっぱり現段階では土壌への悪影響も有ります。
でも、有機農法をベースとして、アシスト役として一部化学の力に頼る、というのは有効な選択だと思いました。

間藤教授の締めくくりの言葉。とても共感出来ました。

間藤教授
「繰り返しますが、結局は人なんです。

腕の良い、信頼出来る農家さんを見つけられるかどうか。
有機だとか化学肥料だとか、無農薬だとか減農薬だとか。実はそこは大事な部分でなく。
この農家さんが作った野菜なら安心出来る、と思えるような、本当に素晴らしい作り手。
その作り手が作った野菜である事。結局はそこですよ。」

これ、各地を回っていて本当に思う事です。
農業に関する研究って、実はまだまだ進んでいない部分が多いんです。
というより、個別の研究は進んでいるものの、実際の農業に全体的に活かせるような研究がまだ進んでいない。

なので、専門家の間でも色々な意見が出るのが現状です。

私達としても「美味しく、健康に良い野菜を作って行こう」と真剣に考えている農家さんと力を合わせ、皆さんに最高の野菜をお届けしたい、と思います。

野菜作りに関する情報はインターネット上で様々な立場の方が様々な事を仰っています。
でも、どの意見が正しいのか、いまいち判然としないのが現状だと思います。

皆さんに安心して頂ける為にも、これから継続して様々な立場の専門家にお話を伺いたいと思っております。
宜しくお願い致します。


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