「踏み込み温床」で苗を育てる無農薬農家の広島県東広島市の岩見さんを訪問

今回のおいしい野菜の舞台は、広島県広島市

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、広島県東広島市で無農薬農家を営む岩見さんの農園です。

人口約186,000人の東広島市は、長福寺や福成寺などの有名寺院が多数あることや、酒蔵が多いことでも有名で、観光客も多く来訪する観光スポットになっています。

岩見さんの畑があるのは、京都の地形に近い山に囲まれた盆地でした。

畑は全部で16カ所あるそうです。

盆地のため冬はマイナス4度程度まで下がるそうで、霜が降りて野菜が一晩でダメになってしまったこともあるのだとか。

そんな厳しい環境ですが、畑の土壌は重粘土質でしっとりしており大変良いとのこと。

岩見さんが土作りに用いているのは、緑肥と落ち葉堆肥のみなのだそうです。また、名水で有名な町に畑があるため、良質な水にも恵まれているそうです。

農学部卒業後、環境調査系財団を経て就農

岩見さんは元々農家をされていたわけではありません。

大学で農学部を卒業後、一度は環境調査系財団に就職し、そこで20年間勤務したそうです。

環境調査系財団では、環境アセスメント、希少生物保護、環境教育、地球温暖化防止活動、市民活動支援などの業務に従事したのだとか。

その後、2012年に退職し、有機農家さんの元で研修をさせてもらい、約1年後に現在の農園を立ち上げたのだそうです。

取材を通して、環境調査系財団での経験が、岩見さんが農業をされる上で大きく影響しているのだなと感じさせる場面にいくつか出会いました。

そのひとつが「生き物を大切にする」という岩見さんの姿勢です。

これは、岩見さんから感じた一番強い印象でもあります。

岩見さんは、生き物たちそれぞれに適した住居を提供するために、畦の草をほどよく残したり、畑の一部に水場を用意するなど、さまざまな工夫をしています。

生き物を大切にして、生き物と共存しながら農業をする岩見さんの姿には、前職の経験に通じる生き物への優しさがあふれていました。

「踏み込み温床」で育てる苗

岩見さんの農園では、「踏み込み温床」と呼ばれる方法で、苗を育てています。

「踏み込み温床」とは、落ち葉に稲わらや米ぬかを加えて踏み続け、40度くらいまで温度が上がったら、温床を苗の下に置き発育を促す方法なのだそうです。

なお、苗の下に敷いている間は、温床の温度は18度くらいに保たれるのだとか。

「踏み込み温床」を利用することで、寒いうちから夏野菜の苗を育てることができるそうです。

先人の知恵を上手に利用しながら農業を行っていることがよく伝わってきました。

肥料は米ぬかや牡蠣殻、油粕などに燻炭(籾殻を焼いたもの)を加え、発酵させた「ぼかし肥料」を作って使っているそうです。

すでに発酵している「ぼかし肥料」を使用することで、通常の肥料よりも微生物の分解がはやく、効果が出やすいのがポイントなのだとか。

なお、燻炭の籾殻もすべてご自身で焼いて炭にされているそうです。

岩見さんの農園で採れるオススメお野菜

ここで、岩見さんの農園で採れるオススメのお野菜をご紹介していきましょう。

まずは人参。甘味が強く、さまざまな料理に使えてオススメとのこと。

次にかつお菜とカーボロネロ。

カーボロネロはイタリアのトスカーナ地方が原産と言われているお野菜で、日本では黒キャベツとも呼ばれています。

といっても実際に黒いわけではなく深い緑で、濃い味が特徴的です。

ボルシチやシチューにピッタリとのこと。

最後にじゃがいも。「あいのあか」という品種で、自家採種で生産しているとのことでした。

(自家採取とは、自分で栽培した野菜の中から、特に優良な株を選び、種を採って次の生産に回すことを言います。)

イタリア料理用の野菜を育てていきたい

岩見さんが今いちばんやりたいことは、イタリア料理用のお野菜を育てることなのだそうです。

実際に紹介していただいたカーボロネロもイタリアのお野菜でした。

イタリア料理では、肉や魚だけではなく、野菜もメイン食材として調理するため、魅力を感じているのだそう。

また、新規就農を考えている方の相談にのったり、ご自身のブログで畑作りについて情報発信をおこなったりと、農業界全体の発展にも貢献している岩見さん。

ココノミでは、今後も岩見さんの活躍を応援していきます。

2018.01.19

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