『いつかは鶏を飼って自分の農業を循環させたい。兵庫県神崎郡のねっこふぁーむ、関根さん』

生産者インタビュー

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山に囲まれた長閑な風景が広がる兵庫県神崎郡市川町で農業を営む、ねっこふぁーむの関根さんの元へ取材に伺いました。
神崎郡は姫路市からまっすぐ北に進んだあたりにある地域で、山並みの美しいエリアです。
取材に伺った3月末、山は新緑に色づき始めていて、小鳥のさえずりが心地よく感じられました。

つい声に出したくなる“ねっこふぁーむ”という可愛らしいお名前は、野菜の根っこ、人間の根っこ、どんな事にも根っこがある、という気持ちと、関根さんの“ね”を取って名付けられました。
ねっこふぁーむさんに到着すると関根さんと一緒に、元気いっぱいの5歳の娘さんが迎えてくれました。

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かつては旅人。自由なライフスタイルを求めて農家へ転身。

関根さんは神奈川県、奥さまは北海道のご出身で、お二人ともかつては季節労働をなさっていたそうです。
季節労働とは、例えば冬のスキー場のお仕事や、夏のリゾート地のお仕事といった、季節に限定したお仕事に従事する働き方の事。
ある時期にしっかり働いて、得た収入で旅をする。
いわば“旅人”でした。
とてもおおらかで、どこか飄々とした印象を受けたのはその為だったのでしょう。

そんな関根さんが神崎郡に来られたのは、今から約4年前。
結婚してしばらくは北海道に住んでいましたが「寒いから出ようか」と、ラフな理由でお引越しが決まりました。
関根さんは季節労働を通じて農産物の収穫をしていたご経験もあって、農業に興味があったそうです。
そこで、引越し先では農業を始めるべく日本各地の農村地帯を探したといいます。そこで偶然に見つけたのが、ここ神崎郡でした。

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「畑と家も近いし、山はきれいし、いいじゃん!って。季節労働者として働いて、旅をするのはとても楽しいんですけど、自由すぎるので。笑
結婚もしたので地に足のついた仕事をしようと、一番興味のあった“農業”をできるような場所を探していました。」

関根さんのお家は、長閑な道の途中にポツンと現れる趣のある一軒家。そこから徒歩30秒のところに畑があります。
周辺には美しい山並みが広がり、余計な建物も、雑音もありません。この環境に惹かれ、数ある国内の農村地帯の中から神崎郡を選ばれました。
今はこの場所で、ご夫婦お二人と、可愛らしい娘さん、そして娘さんと仲良しな猫ちゃんと一緒に、穏やかな農業生活を楽しんでおられます。

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修行を通じて変わった、“有機農業”のイメージ

神崎郡に来てから1年半は、同じ市川町で有機農業と平飼いの養鶏を営む農家さんの元で修行を積まれたそうです。
お師匠さんのお野菜は、食味が良いのはもちろん、見た目もとてもきれいに育っていました。『有機農業では野菜を上手に作るのが難しい』と思っていた関根さんは、きれいに仕上がった野菜を見て感銘を受けたといいます。
「有機農業でこんなにきれいな野菜ができるなんで、奥が深くておもしろいな」と、有機農業に対するイメージが変わり、独立後も有機農業を継続していく事を決めました。

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“あるもの”で土づくり。循環させていく事が、関根さんの理想の農業。

関根さんの有機農業の一番のこだわりは“あるもの”で土作りをする事。
隣町の養鶏場から分けてもらった鶏糞や、自分で育てたお米のもみ殻、集めた落ち葉など、身近にあるものを堆肥として活用し、良い土を作る。そうする事で循環させていきたいのだと仰っていました。

「僕は経験が浅いので、“自分のスタイル”というものはできていなくて、まだまだ途中なんです。色んなものを混ぜて、出来を見て、検証して、その繰り返し。色んな事を試してみて理想の農業に近付きたいです。」

関根さんの理想の農業。それは“自分が育てたもので自身の農業の循環を作る事”だと話してくれました。
自分で鶏を育て、出た鶏糞を堆肥にして、育ったお野菜を餌にする。そしてまた鶏糞を堆肥にして、というサイクルを作る事が、関根さんの目指す農業の形なんだとか。
理想の農業の実現に向けて、今一番やりたい事は“鶏を飼う事”なのだそうです。

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まだまだ途中だ、と謙遜される関根さんですが、関根さんのお野菜はとてもおいしいので、ぜひお試しいただきたいところ。
味が濃く自然な味わいで、野菜本来のおいしさを感じられます。関根さんは少量多品目で栽培されていて、ココノミにも色んな種類の野菜を出してくださっています。
葉物野菜はみずみずしくて張りがあり、根菜もしっかりとした甘みが楽しめます。
畑もとてもきれいに管理されていて、丁寧に育てられている事が伝わってきました。

関根さんの野菜のおいしさは、5歳の娘さんもお墨付き。
取材中ずっと関根さんの傍にいた娘さんは、自ら進んで畑の野菜を採って、おやつのように食べていました。
おいしい?と聞くと、「甘くておいしい!」と可愛らしい笑顔で答えてくれました。

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「食べる人が元気になってくれたら。」愛情のこもった関根さんの野菜

はじめは、屋外で体を動かす仕事が好きだからという理由でやりたいと思うようになった農業。
でも今では、育て方や堆肥で味が変わったり、同じように種を撒いても芽が出たりでなかったり、思ったようにはいかないけれどそこがまた楽しくて、農業を始めて良かったと感じておらます。

ご家族3人で畑の傍で、のんびり自由に過ごす生活がとても気に入っているといいます。
「自分が作った野菜を食べて元気になってくれたらうれしい。それだけですね。」と仰っていました。
食べ物は直接口から入るものだから、体への影響ってあると思うんですという関根さん。
愛情がこもったお野菜を食べたらきっと、心も体も元気をいただけますね。

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(訪問日 2021/05/21 文・撮影 太田萌子)

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