環境にあわせて最適な農法を選択!長野県佐久市で無農薬野菜を作る鈴木さんを訪問

生産者インタビュー

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、無農薬で野菜やお米を育てる長野県佐久市の鈴木さんの農園です。

ズッキーニなどの野菜や、あかひばりなどのお米を育てる農法についてのこだわりから、無農薬で野菜やお米を育てる理由などをたっぷりと伺うことができました。

また、野菜の中でも特にズッキーニを得意としている理由や、今後チャレンジしていきたいことなどにも答えていただきました。

動きながら栽培できるズッキーニが得意

ーー今日はよろしくお願いいたします。

鈴木さん「はい、お願いします。」

ーーわぁ、風が冷たい!めちゃくちゃ寒いですね!いつぐらいまで、畑仕事できます?

鈴木さん「12月の上旬くらいまでが限界ですね。早い時で12月の中旬には雪が降るので(笑)」

ーー雪は結構積もります?

鈴木さん「基本的にはここら辺は、晴れが多いんでそこまで積もらないですね。」

ーーじゃあ、積もらない代わりにハイパー寒いと(笑)

鈴木さん「そうです(笑)」

ーー畑の写真とか撮らせてもらってもいいですか?

鈴木さん「いいですよ(笑)ここは、夏場は全部ズッキーニなんです。」

ーーへぇ〜、そうなんですね!

鈴木さん「このズッキーニの後作で、丁度これズッキーニの後です。等間隔でズッキーニが植えてあってその後に植えるやり方です。」

ーーあ〜、なるほど。

鈴木さん「シーズン中はずっとマルチ麦という麦を植えてて、麦も栽培しながらなのでちょっと幅が広いというか。普通だったら、葉物とかもズラーと植えるんですけどね。」

ーーああ、はい。

鈴木さん「ズッキーニの後を利用して、こうやって等間隔に。」

ーー一面、全部ズッキーニですか?

鈴木さん「そうですね。一面、全部ズッキーニです。7月から始まって、8月に終わってすぐ蒔いています。すると、こういう感じに出来ます。」

ーーなぜズッキーニを栽培し始めたのですか?

鈴木さん「元々、お米をやりたくて色々研修してて、始めは高知県に行って、その後に三重県、千葉県に行ったりして最終的にここで研修しました。ここら辺の作物は農協では、ズッキーニがメインで、お米は、春と秋でした。夏の時期の野菜はズッキーニが産地で力を入れていて、僕もお米を栽培するのにあたって、夏の野菜が必要だったので、導入としてズッキーニがやりやすかったんです。」

ーーそうなんですね。

鈴木さん「やってみると、ズッキーニって歩きながらの収穫なんですよ。蕪があったら、見ながらこうやって採っていくんです。」

ーーなるほど。

鈴木さん「基本的には、僕はチョコチョコやる作業が苦手なんですよ(笑) 」

ーーそれはなにか理由があるんですか?

鈴木さん「元々、陸上競技をやってまして。なんか、野菜作りって抵抗があったんです。野菜作りっていうと、なんか留まってやるって感じで苦手意識がありまして(笑)その点ズッキーニって動きながら作業できて、重たくなると大変ですが、気持ち的には苦にならないです。」

ーーズッキーニは何種類扱っているんですか?

鈴木さん「ズッキーニは、緑と黄色のみです。丸とかいろんな形はあるんですけど、普通の緑と黄色だけです。」

ーー販売は農協さんメインで?

鈴木さん「結局、ズッキーニだけで3町歩で有機JASを取得はしてはいるんですが、有機JASで流通は限界があるので、そうなると農協がメインになってきますね。あとはレストランとかにだしています。収穫は多い時で2000本になってくるので。」

ーー2000本!凄いですね!

鈴木さん「ここの土地の特徴で、700メートルを超える標高で、朝晩の寒暖差に加えて霧もよくでます。そのせいか、関東のレストランで、他のズッキーニと比べて切り口がとても瑞々しいとか物持ちが良いと言われます。」

ーー新鮮ですね。

鈴木さん「言われるまで気付かなかったですよ。自分の作ったズッキーニしか食べた事がなくて。それがズッキーニだと思っていたので(笑)」

ーーそうだったんですね(笑)

鈴木さん「取り扱っている人の話しを聞くと、色々なズッキーニを取り扱っている中でも、凄く美味しいという評価を頂いてます。」

ーー同じ品種でも育て方が全然違いますよね?

鈴木さん「そうですね。」

お米は「はたはったん」と「あかひばり」を栽培

ーー実は新潟の魚沼産のお米を収穫するのを手伝った事がありまして。稲刈りの時、コンバインを入れる角の所を手でやるじゃないですか。

鈴木さん「やりますね。」

ーーあれって相当ハードだったんです(笑)

鈴木さん「そうでしたか(笑)ちなみに、お米はもうちょっと山の方でやってます。」

ーー今は丁度、新米の時期ですか?

鈴木さん「そうです。」

ーーお酒用にお米を作ってると聞いたのですが。

鈴木さん「お酒用が8割で残りの2割は食べる用のお米です。」

ーー品種はなんですか?

鈴木さん「品種は”はたはったん”っていう自然農法で造られた種と、在来種の”あかひばり”を栽培してます。どちらも、ほぼ流通はしてないです。」

ーー聞いた事のない品種です。

鈴木さん「”あかひばり”は長野でも、いや全国でも僕くらいしか作ってないと思います。」

ーーなんでその品種を育てようと思ったんですか?

鈴木さん「たまたま、”あかひばり”の種が手に入りまして。以前働いていた酒蔵で昔の品種を復活させるっていうのがあって、その来歴を調べたら長野県だったんです。」

ーーなるほど、縁があったんですね。

鈴木さん「千葉県の酒蔵にいたんですが、千葉県で作れるなら長野でも作れると思って、持って来たんです。」

ーー元々、千葉県の圃場の種を持って来たという事ですか。

鈴木さん「千葉の酒蔵も博物館から出て来た昔の種を栽培していた。”あかひばり”っていう品種は知っていたらしいのですが、それをどんどん調べていったら原産が長野県だったみたいです。」

ーーじゃあ、コシヒカリとかと比べて味も全然違いますか?

鈴木さん「そうですね、味はアッサリしているというか、甘くはないです。コシヒカリだと甘味が特徴ですが、そういうのは全く無いですね。」

ーー”はたはったん”の方はどんな味ですか?

鈴木さん「”はたはったん”は物凄くアッサリしています。無肥料無農薬なので甘味はないですけど旨味があって。結局は水になってしまいますが、かなり山の上で栽培しているので元々の水が良いか、凄くアッサリして食べ続けても飽きが来ない味わいになってます。」

ーーコシヒカリの甘くてもっちりが好きな人は多いと思いますが、それだけじゃないぞと。

鈴木さん「そうですね。」

ーーアッサリ系のお米にはどんな料理が合いますか?

鈴木さん「アッサリ系のお米はどんな料理でも合いますよ。コシヒカリは甘くて、しつこい料理だと重たいじゃないですか。その点、アッサリ系のお米なら色々な料理に対応出来ると思いますよ。」

土作りを目的に小麦も栽培

ーー小麦も栽培していますよね?あそこは小麦ですか?

鈴木さん「あそこはヤングコーンです。あそこも夏はズッキーニだったんです。」

ーーへぇ〜、そうなんですか。

鈴木さん「本当に全部ズッキーニなんです(笑)」

ーー全部ズッキーニ(笑)

鈴木さん「ズッキーニの後に小麦蒔いて、来年は小麦で再来年はズッキーニに戻す。」

ーーなるほど、サイクルで。

鈴木さん「土作りにもなるので、小麦の藁がどんどん土にかえされる、そういう循環で。土作りしながら小麦採りながらズッキーニを栽培。圃場内で有機物を循環しながらやってます。」

ーー小麦を栽培している方は多いのでしょうか?

鈴木さん「おっしゃる通りです。土作り目的で栽培している人が多いです。」

ーーなるほど。

鈴木さん「こっちの奥は大根です。」

ーー写真撮らせてください。

鈴木さん「どうぞ。今年は紅芯大根を切り干し大根にしようかなって。色見もあるし、生で食べても甘味があるし、干すことでもっと甘味が凝縮できないかなって。」

ーーへぇ〜、いいですね!

鈴木さん「切り干しだと免許が必要ないんで。」

ーーそうなんですか?

鈴木さん「ただ、切って干すだけなんで。」

ーーなるほど。赤い切り干し大根、他で見ないですね。

鈴木さん「そうですね。白い切り干し大根はありますが。」

ーー面白いですね。この紫色の野菜はなんですか?

鈴木さん「これ高菜です。」

ーーこれ、高菜なんですか!これどうやって食べるんですか?

鈴木さん「切って炒めて食べます。」

ーーへぇ〜。加工した高菜しか知らなかった(笑)

鈴木さん「油揚げとかと炒めると辛い風味がして美味しいですよ。」

ーー漬物にすると皆が知ってる高菜になるんですね。

鈴木さん「なります(笑)」

ーーこれは何ですか?

鈴木さん「野沢菜です。」

ーー下が蕪みたいですね。ここは食べれます?

鈴木さん「食べれますよ。出荷はしてませんけど。」

ーーこの野沢菜は漬け物用ですか?

鈴木さん「そうです。あんまり生で食べないです。」

無農薬で環境に負荷をかけない農業

ーーどんな農法で野菜を育てられていますか?

鈴木さん「農法はスタンダードな有機農法です。発酵鶏糞と微生物資材です。」

ーー微生物資材とは?

鈴木さん「米ぬかとかを発酵させたものです。それらを使って栽培します。」

ーーお米も同じですか?

鈴木さん「お米に関しては、極力抑えてながら栽培してます。農薬は一切使いません。」

ーー有機栽培の方法って色々あるじゃないですか?どのように試行錯誤してここに至ったのですか?

鈴木さん「あ〜、そうですね。お米は完全無肥料で始めて、最初は土に合わせて加えてあげて、最終的には何も使わないというのが最終地点。そこから土の中の微生物だけで循環せさていくっていうのがベストだと思います。まだ過程、途中ですね。

最初に1つの農法を厳格に守るじゃなくて、その土地に土に合わせて、状況に合わせて変えていく。1つの農法だけじゃなく色々な農法を組み合わせいく。自然農法といわれているのは基本無肥料だし草刈りしながらなんですけど、僕は麦を生やして麦を刈って敷いていく。基準は無農薬なんですけど、それ以外は環境に合わせて変えていく感じです。」

ーー露地栽培だと環境の把握は難しいと思うのですが、どの様に把握していますか?

鈴木さん「正直、出来た作物を見て判断するかんじですね。」

ーー何故、無肥料を目指しているのですか?

鈴木さん「そこだけの土の中で微生物が循環してその恵みを頂くことや、環境にも負荷がかかってないじゃないことが良いなぁと思いまして。最初から全部が全部できるわけじゃないですが、一歩ずつ前へ進んでいる感じですね。」

7年目の今がチャレンジの時期

ーー今の形で農業をはじめて何年くらいですか?

鈴木さん「ここの畑自体は2年くらいです。向こうで人参を作っているんですが、あそこは6年くらい。」

ーーじゃあ、どんどん増してるかんじですか?

鈴木さん「はい、そうです。」

ーーこの土地に来られて何年くらいですか?

鈴木さん「土地にきてからは7年目です。」

ーースタートした時の目標とかやりたかった事、7年経ってみて何か変化しましたか?

鈴木さん「始めはお米とズッキーニだけでスタートして、正直こういう野菜類は全く作る気がなかったんです(笑)」

ーーそうなんですか(笑)

鈴木さん「そうなんですよ(笑)お米とズッキーニさえ出来れば良いだろうと思ってました。野菜作りに苦手意識があったんですが、やってみると段々面白くなってきちゃって(笑)やってみたら意外に出来たりして。出来れば出来る程、分からない事が増えるですけど、それをクリアしていくのが楽しくなっちゃって(笑)」

ーー分かります(笑)そういうことありますね。

鈴木さん「葉物なんて特に全然作る気なくて・・・。大変だし直ぐに萎れちゃうし。」

ーー逆になんでやってみようと思ったのですか?

鈴木さん「とりあえず、お米とズッキーニは出来ると。量の問題はあるけど、とりあえず出来るようになったと。次、なんかやりたくなっちゃって。」

ーー(笑)

鈴木さん「あれも出来るんじゃないか、これも出来るんじゃないかって思って。夏はズッキーニで忙しくて、僕にとってチャレンジできるのは、この秋。春はお米の準備で忙しいし。」

ーーそうなんですね。

鈴木さん「この秋の、8月以降の種まきは色々出来て、人参だったり高菜だったりルッコラ、大根・・・色々まだまだやっていこうかなと思ったりしています。」

ーー今がチャレンジの時期なんですね。ココノミでも、鈴木さんの力になれるように頑張ります。本日は、本当にありがとうございました。

鈴木さん「こちらこそ、ありがとうございました。」

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