おいしいトマトを栽培!長野県伊那郡で無農薬農家を営む石川さん訪問

生産者インタビュー

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、長野県伊那郡宮田村で無農薬トマト農家を営む石川さんご夫婦の農場です。

もともとは東京で働いていた石川さんご夫婦が、どういった経緯で長野県で農業をはじめられたのかや、トマト作りへのこだわりをたっぷり伺いました。

20年前から農業を開始

ーー農業はいつからされていたのでしょうか?

石川さん「ちょうど20年くらい前からですね。

私も夫も東京で働いていて、夫は東京出身でした。

私は出身は奈良ですけど、大学は大阪で就職は東京。

文系だったので関係ない仕事をしてて、農業にまったく興味も無いって感じだったんですけど、夫が自分で何かやりたいって言い出して、それなら二人でやったほうが良いかなという感じですね。

土に思い入れがあるとか、どうしても農業がやりたいというわけじゃなくて、あくまでも職業選択の一つとして農業を選んだ感じです。

あと旅行が好きだったので、夫が「農業だったら冬の間に旅行行けるんじゃないの?」って言い出して、あぁそっかって思って、それが結構きっかけにもなってます(笑)」

ーー農業はじめる前は何をされてたのでしょうか?

石川さん「夫は国家公務員で、私がベネッセです。だから、全然農業とは関係ないですね。」

ーーどうして長野県の宮田村に畑を作ったんでしょうか?

石川さん「夫が長野の土地を探してきたんですけど、私が実家が奈良で、夫が実家東京なので、あんまりお互い離れたところはちょっとって感じがあったので、長野くらいなら良いかなと。

あまり他の候補地と比べて決めたわけではなくて、長野くらいでいいかなって気持ちでしたね。

夫がパラグライダーが趣味で、長野にはよく来ていたので馴染みがあったのも大きな決め手にはなりましたね。」

畑はできるだけ川上に

ーー畑の水質などはいかがですか?

石川さん「水は、今ここは川水が上から流れてきてますね。

圃場(畑)は他に2箇所くらいあって、もともとは別の場所でやってたんですけど、そこは畑かん(ハタカン)といってダムなどから農業用水を畑まで配水してくれるパイプラインが整っていたんですけど、冬場は使えないので冬場も使えたり、水がもうちょっと綺麗だったりする環境を求めて今の場所に移りました。

あと、ここの畑を借りるときはすでに無農薬農法だったので、川下の場合どうしても途中の農家さんが使用した農薬などが混じっている場合もありますから、そういうのを避けるためにできるだけ川上に借りています。」

ーー宮田村の自治体さんは、就農される方に手厚いイメージがあるのですけど、実際はどうなのでしょうか?

石川さん「正直、野菜農家には全然サポートは無いですね(笑)リンゴ農家さんにはすごく手厚いです。

リンゴの木が植わった状態の農園を貸したりとか。なので、リンゴ農家に就農しにくる人は毎年一人くらい居ますよ。

畑の面積自体は広いんですけど、ほとんどが働きながらの兼業農家さんになるので、リンゴの専業農家が1万人くらいだとすると、野菜は2〜3人程度です。」

お客様からの「おいしい」が最高の瞬間

ーー農家を続けていて、もっとも喜びを感じた瞬間を教えてください。

石川さん「やっぱり作った野菜を「おいしい」と言ってもらえた瞬間ですよね。それ以外は無いと言ってもいいです。」

ーーやはりそうですよね。反対に、これまで一番大変だったことはなんですか?

石川さん「いままでで一番・・・ハウスが潰れたことですかね。」

ーーそんなこともあるのですね!

石川さん「はい、それこそ昨日も台風で1つ潰れましたね。冬場は大雪で潰れてしまうこともあります。」

ーーそれは大変ですね。現在の栽培方法(有機/自然栽培など)の詳細を教えていただけますでしょうか?

石川さん「現在の栽培方法は、農薬は使っておらず、肥料も有機肥料ですね。それを15年くらい続けています。」

無農薬への試行錯誤

ーー最初は農薬も使われたんですか?

石川さん「最初は使ってました。1年かそれくらいですかね。

最初農協へ行ったらスイカを作れって言われて、その頃は何も考えてなかったので、農薬を使って露地でスイカを創り始めたんですね。

そうしたら大変だった割にスイカが全然できなくて、1年目でスイカは諦めました。

そこでトマトへ目を向けたんですが、トマトはこだわる人も多いし、なかなか難しくて簡単には作れないので、長くやっていく価値があるかなと思って、2年目からトマト栽培にチャレンジしはじめました。

で、作り始めた1年目は、ビギナーズラックみたいな感じで何もせず育ったんですけど、やはり続けていくうちに病気になるので、最初の2〜3年くらいまでは病気になったり虫が出たら農薬を使用することもありました。

ただ、農薬はなによりも撒く手間が大変なうえに、撒くことで病気や虫が完治するかというとそういうわけでもなく、ある程度のペースで撒き続けないと病気なり虫がまた出てしまうんです。

だったら、何よりも撒くのが大変だし、辞めてしまおうかと。」

ーーそれが有機農法へ移行するキッカケだったんですね。

石川さん「そうですね。そこから1〜2年はちょっと怪しげな自然農薬なんかに手を出したんですが、それって結局農薬撒いてるのと一緒だし手間も変わらないことに気がついて、その他にもデメリットが多かったので自然農薬も辞めました。

トマトの病気について改めて考えてみると、湿気に弱いのでから水分がかかると病気を誘発しがちなんですね。

なので、農薬も一応水分なので、それならもう一切辞めてみようと、シンプルな考えに至りました。

農薬を撒く機械も処分してしまって、物理的に撒けない状況にしました。

もちろん、最初は大変で、虫が出たとしても何も撒けません。

基本的には木自体が弱ってきているから、肥料と水をしっかりあげて木を強く育ててあげるようにしていました。

それでもダニや病気にやられてしまうことが何回かあったんですけど、色々と栽培技術を習得していったり、天敵昆虫を使った生物農薬を使用するようになりました。」

ーー生物農薬?コンパニオンプランツみたいな感じでしょうか?

石川さん「いえ、そうではなく、たとえばダニを食べるダニというものが居て、普通にお店で売っているんです。

もちろん、すべて農業用なんですけど、例えばアブラムシなど色んな虫用のものが売っています。

これを導入することで、虫が増えすぎないように天敵が食べる自然界のバランスみたいなものを擬似的に作り出せます。

こういったことを駆使して、強いトマトの木を作っていきましたね。」

ちゃんとしたトマトを、ずっと作りたい

ーー肥料をあげる頻度はどのくらいなのでしょうか?

石川さん「10日から2週間に一回くらいですね。カルシウムなど足りない部分の栄養を補う形で肥料をあげています。」

ーー肥料は何を使われているのでしょうか?

石川さん「有機石灰などの有機肥料を使っていますね。有機肥料ばかりを取り扱うお店で買ってきています。」

ーーお作りになっているトマトで、おすすめの品種はありますか?

石川さん「夏場は「麗夏」、冬場から春先くらいは「ごほうび」などがおすすめですね。」

ーートマトのおすすめの食べ方はありますか?

石川さん「私料理があまり得意じゃないので、よく聞かれるんですけど、そのままが一番です(笑)」

ーー私もそのまま食べるのが一番おいしいと思います(笑)最後に、今後の夢を教えて頂けますか?

石川さん「ちゃんとしたトマトを、ずっと作りたい(笑)

まだ本当に、何の問題もない良いトマトができたと思えたことは一度も無いので、そういうトマトをいつか作ってみたいですね。」

旦那さん「それは永遠に無理だよ。生き物だもん。」

石川さん「やっぱりここがよくなかったとか、ここをもっと工夫したほうがいいなとかいうのが毎年ちがうので、そういう課題をひとつずつクリアし続けていけたら良いですね。」

ーー本日は、どうもありがとうございました。

Ranking

ランキング

Category

カテゴリー