農業は夢のある職業やと語る京都府福知山市で無農薬農家を営む小林さんを訪問

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、無農薬栽培でおいしいお米や野菜を育てる京都府福知山市の小林さんの農園です。

就農するキッカケから今後の農業への想いまで、たっぷり伺うことができました。

また、一等米や二等米などのヒミツと、それにまつわる「色彩選別機」についても興味深いお話を聞くことができました。

就農する前は学習塾の先生

ーー本日はよろしくお願いします。

小林さん「こちらこそ、よろしくお願いします。」

ーー最近就農したとお聞きしているのですが、元々はなんのお仕事をされていたのでしょうか?また、就農したキッカケについても教えてください。

奥さま「元々は大阪の堺で学習塾をやっていました。私が大学卒業してからずっと、今から3年前くらいまでずーっとですね。

結婚してから、旦那が英語だけ教えてくれるようになって。」

ーーすご〜い!先生なんですね(笑)

奥さま「私はずっと農業やりたいなって思ってたんですけど、なかなかキッカケとかもなく、力仕事やから60歳過ぎてからは絶対しんどいのは分かってたし、塾だから辞めるって言ってもすぐ辞められる訳じゃなくて、教え子らが卒業するまでは辞められないじゃないですか。

だから、やるんならじっくりせなあかんて思って、3年計画とかで。」

小林さん「中学生を教える塾やったんで、その年に入った中学一年生が卒業するまでの3年間を、農業するための準備期間にあてました。」

ーーそうなんですね。

奥さま「その3年間で農業塾に行ったりして、あっち(塾)行ったりこっち(畑)行ったり、2拠点でやってました。

最初のうちは畑しかやってなかったんですけど、うちは動物もいっぱい居るから、その子らにやるのもあって農薬とかも何も使ってませんでした。

そうしたら、動物も美味しそうに食べるし、自分たちで食べても当然おいしいし、そうしたら全然スーパーで野菜買う気になれへんくなってきて。

形悪くても美味しいし、全然いいや〜んって(笑)」

ーーこの土地を選ばれたのはなにか理由があるんですか?

奥さま「ここはもともと私の母親の実家なんですよ。祖母が亡くなってからはずっと空き家になってて、田んぼや畑は近所のおばあちゃんたちがずっとやってくれてはったけど、「もう年取ったから返すわ〜」って言われて。

で、返された田んぼどうしようってなって、「じゃあやってみるか」ってやったら、「なんやお米できるやん」ってなったんです(笑)」

ーーそうなんですね(笑)

奥さま「素人でもできるやん!って(笑)それで田んぼもどんどん増やしていって、今年は3町以上になりました。」

ーーすごい、急速ですね(笑)

奥さま「そうそうそう(笑)それで本格的にやろかってことになって、法人化もしたし、刈り入れもして、乾燥も自分たちでやろかってなってちっちゃい乾燥機とか買ったり、色彩選別機とか入れて・・・」

色彩選別機と一等米のヒミツ

小林さん「色彩選別機って分からへんでしょ?お米って一等米とか二等米とか聞いたことあるでしょ。あれ何のことだか知ってる?」

ーーついこのあいだ調べたんですけど分からなくて、農家さんに聞いてもプロじゃないからってフワッとしたことしか答えて貰えなくて(笑)すくったときのお米の形とか、あと水分量とか、その程度のことしか知らないです。

小林さん「うん、それで良いんですよ。それであってるんだけども、要はね、見た目なんですよ。味じゃなくて。見た目が良ければ一等米になるんです。」

ーーそれは何でなんですか?

奥さま「昔からの流れで・・・」

小林さん「規格は農水省が決めているのですが、お米を買い取る段階で、お金の支払を綺麗なお米はたくさん払うけど、汚いお米はあんまり払わないって、4段階にしたんですよ。

一等米、二等米、三等米、規格外って4段階に分けたことで、それぞれの買取価格が変わったんです。」

ーー知りませんでした!そうなんですね。

小林さん「しかも、その一等米から規格外のお米がその後どうなるかっていうと、混ざって流通に乗っていくんです。」

ーーうそ〜?!

小林さん「お米屋さんとかスーパー行っても、一等米とか二等米とか無いでしょ?つまり、産地と銘柄しか載ってない。」

ーー私も調べて一等米買おう!と思ってスーパーとか行っても載ってなくて・・・。あ、無いんや〜(笑)

小林さん「無いんです(笑)混ざってるんです。さすがに規格外なんかは混ぜへんやろうけど、一等米と二等米なんかは千粒中に何粒っていう世界なんで・・・。理不尽でしょ?」

ーー理不尽すぎる・・・。

小林さん「でしょ?だから、消費者のことを考えてない仕組みだと僕は思ってる。

で、一等米になると買取業者さんが高値で買い取ってくれるから、みんな一等米を目指すんですよ。

一等米と二等米だと、規模にもよるけど、買取業者さんから支払われる金額が10万円とか20万円とか変わるわけですよ。そしたら一等米目指すでしょ。

で、どうしたら一等米になるねんって話になるでしょ。

それはね、農薬と殺虫剤を大量にかければ、一等米になるんです。その農薬と殺虫剤を売ってるのは買取業者さんです。」

ーーなんともすごい循環ですね(笑)

小林さん「昔の農家さんは買取業者さん頼りで自分たちで販売できないので、買取業者さんの言う通りやってると、高い資材を買わされて、一等米を作って、お金をもらう。

こういう流れが、今でもたくさんあります。

うちらはそれが嫌なので、本当は無農薬でお米を作りたいけれど、周りが農薬を使ってる田んぼがたくさんあるので、うちだけが無農薬でやってしまうと、雑草が生えたりして周りに迷惑がかかるので、農薬を半分以下に抑える『特別栽培米』というルールに則って作っています。

で、さらにカメムシっているでしょ。カメムシは稲の穂が実ってまだ柔らかいときに、中身を吸っちゃうんです。

吸われたやつは中身の実が無くなるので、乾燥して米袋に入ると、黒い点みたいなのになる。だからお米買うと、白米の中に黒い点みたいなのがあるでしょ?」

ーーあ〜、あります、あります。

小林さん「あれ実は、逆に農薬や殺虫剤を使ってない証拠なんですよ。でもね、あれがあると一等米じゃないんです。

だから、安全だけど一等米じゃないって理解をすればいいんです。」

ーーなるほど!

小林さん「でね、うちが考えたことは、黒い点を取り除けば一等米になるんじゃないかってことです。それを取り除く機械を、今年うちでは導入したんです。」

ーーそんなのがあるんですね。

小林さん「あるんです。それがさっき言ってた『色彩選別機』ってやつですね。その機械だけで300万くらいするんです。だから普通、農家さんは導入しません。」

ーーそんな高価な機械、普通は無理ですよね・・・。

奥さま「今年くらいから導入してる農家さんは増えてきてますよ。周りの農家さんとか見てても。」

小林さん「こういう話をすると、真似する人が実は増えてきて、最近はテレビで紹介されたりもしてるんです。だからね、その機械を導入したことで、これまでは二等米だったうちのお米が、今年は全部一等米になったんです。」

ーーえ〜、ひどい!(笑)

小林さん「理不尽でしょ?全く同じ作り方なのにね。ただうちはその買取業者さんとはあまり取引してないから、関係無いんですけね。
酒米を頼まれたので、少し作っているくらいです。もちろんそれも一等米でした。酒米の一等米は少ないんですよ。」

ーーそうなんですね。

小林さん「だから今年の初期投資のなかで一番活躍したのはその『色彩選別機』ですね(笑)」

ーーでもその機械があるだけで一等米になるのは良いですね。

小林さん「うんうん、販売のタイミングでも言えるでしょ。これ一等米やねんって。お客さんも内容は知らなくても一等米は聞いたことあるから、効果もありますね。」

お米以外のお野菜について

ーーお米の他にお野菜も作られていますか?

小林さん「はい。うちの畑の野菜の売上で言うと、トマト、ナス、カボチャの順やね。」

ーー何品目くらい作ってるんですか?

小林さん「去年までは35品つくってたね。」

ーーめっちゃ作ってますね(笑)

小林さん「けど、それはダメやっていう話でね。」

ーーいま、畑はなにかなっていますか?

奥さま「ナスはもう最後・・・寒さで一気にアカンようになってるから、あるかどうかやね。あのでかすぎて飾られてるカボチャ持って帰る?(笑)」

ーーでか〜!(笑)何キロくらいあるんですか?

奥さま「3キロくらいはあったかな?」

ーー品種は何になるんですか?

奥さま「あれは『えびす』。1〜1.5キロで大きいって言われるんやけど、3キロやと安くするわけにもいかんから、グラム数で置いとくとだーれも買ってってくれへんのや(笑)」

小林さん「カボチャも全撤収を昨日やって。」

ーーカボチャはいつ頃までですか?

小林さん「この時期までやね。」

奥さま「ピークは夏かな。今年はちょっと遅かったね、できるのが。たいていは6月〜7月にでき始めてすぐ収穫してまうけど、うちはそれが8月〜9月やったから。」

小林さん「しかも農薬も肥料も全く使わず。」

ーーへぇ〜、すごい!

奥さま「もともと牛ふん堆肥とかたっぷり使ってる土だったみたいで、米とかやと逆に栄養多すぎるからあかんし、畑どうしよってなってカボチャにしたら甘くておいしくて大当たりやってんね。」

ーーあのカボチャ買ってもいいですか?(笑)

奥さま「ええよええよ(笑)」

ーー大きい『えびす』だから縁起いいとかあるんですかね?関係ないかな(笑)

小林さん「これでえびす顔やったらええなやけどね(笑)」

若い人たちにも農業は「おもしろい!」と思ってほしい

ーー土壌とか水質にこだわりとかありますか?

小林さん「ちょっと冬場は日当たりが悪くなりますね。というのもここの山が北斜面なんですよ。

だから南側の南中高度が低いときは日陰になる部分があるので、うちの畑の三分の一くらいが日中でも日陰になるんです。

だから冬の間はその部分に関しては栽培をしないように努力してます。」

奥さま「水は山の湧き水を溜めて、そこからポンプで汲んでますね。」

ーーそうなんですね。お水めっちゃキレイそう!

小林さん「山の中に染み込んだ水が湧き出ている感じなので、どこから出てきてるんやって言われてもわからへんのやけど(笑)」

奥さま「環境的にはここも丹波になるんで、朝と昼の温度差みたいなんがうまいこと働いて、丹波っておいしいところ多いから、この辺も野菜作りには適してると思います。

お米もこの辺で作るお米はおいしいって言われますね。この辺の人はみんな普通やと思ってるけど(笑)」

ーー農家さんとして最も喜びを感じたことはなにかありますか?

小林さん「やっぱり美味しいって言われたときちゃうかな。特に相手側が口が肥えてるとか同じ農家とか、ハードルが高いときほど、嬉しいって言われたら気分は良いですね。」

奥さま「野菜いつも食べてますとか言われたときも嬉しいな。」

ーー今後、農家としてどうしていきたいとか、想いがあれば伺いたいです。

奥さま「とりあえずうちらは、自分たちで作ったお米とか野菜は自分たちが一番よくわかってるわけやから、それをうまいこと買ってくれはる人に伝えて、買ってもらいたいなと思っています。

これまでの農家さんは作るだけとかが多かったけど、トマトやったら作ってそれをジュースにしたりとかして、ラベルも考えてブランディングしたりして、そんなんでやって提供することで、新しい形の農家というか、農業やけど汚く辛いことばっかりじゃないってこととかを若い人たちに伝えていきたいですね。

60過ぎてからやってもできるんやでっていうのがちょっとでも形になれば、若い人たちにも『おもしろいやん』って思ってもらえるかって。

しかも高齢化で頭固い人らばっかりでやっとるから、これからどんどん参入する余地あると思うし、夢のある職業やと私は思いますね。

それを、自分らが楽しくやってることで、興味もって貰えたらいいなっていうのはすごくあります。」

ーー素敵ですね!そのお手伝いができるように、ココノミでも頑張っていきます。本日はどうもありがとうございました。

2019.02.02

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