『自然のバランスを保つ事を重んじる、神戸市西区のヘルシーファームさん』

生産者インタビュー

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兵庫県神戸市。港町のイメージの強い神戸市ですが、実は農業も盛んなことをご存知でしょうか。
中でも神戸市西区は農家さんの人口が市内で最も多く、瀬戸内海に守られた温暖な気候と、豊かな自然環境に恵まれた農業地域です。
賑やかな神戸の都心から車で西へ40分程で景色は一転し、ほっとするような優しい田園風景が広がります。
そんな神戸市西区、神出町で有機農業を営むヘルシーファームさんをご紹介します。

ココノミで“ヘルシーママさん”のお名前でお届けしている野菜を育てているのは、有限会社ヘルシーファームさん。
ヘルシーファームさんは、ヘルシーママさんの設立者、西馬さんご夫妻が同時に立ち上げられたグループ会社です。
そしてヘルシーママさんこと有限会社ヘルシーママSUNは、野菜の販売やイベントを運営する企業。
企業を分けて販売と生産で分業する事で、生産者さんが栽培に集中できる環境を実現しているのだそうです。

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(ヘルシーママ主催の農業体験イベントに使われている畑)

脱サラで農業に転身、ヘルシーファーム代表の入谷さん

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今回お話を伺ったのは、ヘルシーファームの代表を務めておられる入谷さん。
健康的な肌色にがっしりとした体つきで、農家さんらしい風格漂う入谷さんですが、実はサラリーマンをやめて就農した、いわゆる脱サラ農家さん。

以前は設計関係のお仕事で、農道整備など農業に関する“農業土木”を専門にしていたのだそう。
設計のお仕事は室内でパソコンに向かっている事がほとんどで、どうしても好きになれなかったといいます。
一方で、農業そのものにはずっと興味があって、仕事で現場に足を運んだりするうちに農業への想いが年々強くなり、18年ほど前に農家に転身されました。

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「農業をやりたいという気持ちはずっとあったけどなかなか踏み切れんかって。でも思いはどんどん強くなっていったんです。
7年くらい悩んで、やっと思い切って農家になりました。当時は腹くくったもんやけど、前の仕事に戻りたいなんて一切思わない。選択に後悔はないです。」

前職を辞めるまでしばらくの間、週末のお休みを活用して農業の勉強を始めることにした入谷さん。
有機農業を学ぶことができる環境を探して出会ったのが、このヘルシーファームさんでした。

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親方の意思を受け継いで“ほったらかし”の農業

入谷さんの農業は、基本的に“ほったらかし”。
もちろん適当にするという意味ではありません。

有機栽培の畑には、農薬を使用している畑に比べて害虫が寄ってきたり、病気になりやすいという課題があります。
この課題を、自然に任せてバランスを整える為に“ほったらかし”にするのだそうです。
害虫や病原菌が発生した時、自然に任せる事でそれらを駆除してくれる天敵が自然に増えて、自然の拮抗が保てるのだといいます。

「農薬をかけてしまったらそれで終わりじゃないですか。益虫とかそういうのも全部死んでしまう。自然に任せとったら、虫にもやられることもあるけどその分益虫も増える。
菌にしても悪い菌ばっかりじゃなくて、ええ菌もいっぱいいるんです。ほったらかしにしてると、同じ菌や虫ばっかり増えすぎんようにって、自然がうまくしてくれるんです。
自分も農業を始めた頃は、害虫の蝶々追い回したりしてたんですけどね。笑」

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こうした自然のバランスを重んじる農業は、入谷さんが“親方”と仰ぐ西馬さんから受け継いだもの。
親方はいつも“入るもんは入ったらええ。自然に任せとったらええねん”と、言い続けていたそうです。
「(有機栽培って)難しいと思うじゃないですか。でもある意味楽なんです。ほったらかしで自然任せなんです。普通の農業やったらちょっと虫でたら“薬かけなあかんわ”って思うけど、うちやったら“ああしゃーないわ”って。そういう意味で手間はかからないですね。」

畑で見たお野菜はとてもきれいでイキイキとしていて、確かに害虫の被害なんて感じられませんでした。
自然の摂理は私たちが思うよりもずっと上手くできているのですね。
寛容な心で自然を受け入れておられる入谷さんの姿勢が、とても頼もしく感じました。

“安定供給”をすることが絶対的なこだわり

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ヘルシーファームさんの農場はとても広く、数か所にハウスと露地の圃場が点在していました。(※圃場…ほじょう/野菜を栽培する場所の事)
入谷さんをはじめ、数名の生産者さんで場所ごとに担当分けをして、生産しているそうです。
同じ品目の野菜でも栽培場所を分散させ、各圃場にて少量多品目で栽培する。
そうする事で、例えば一部が病気になってしまっても一方では収穫ができる状態にして、危険分散をしているのだといいます。

「安心安全で、かつ安定した供給を目指してます。安心安全は、有機やってるので絶対条件。
ほんで安定供給は“いつでも旬の野菜が揃う”という状態の事で、それを目指してやっています。」

自分の選んだ道だから、誠実に、まっすぐに。

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安定供給に対して絶対的なこだわりをもつ入谷さん。
そこには、入谷さんの使命感が伺えました。

“消費者の期待に応えたい”
“野菜をおいてくれる直売所やお店の気持ちに応えたい”。

そうした誠実な思いが通じているのでしょう。近隣の直売所やスーパーでヘルシーファームさん専用の売場が設けられたりしているそうです。
この状況も安定供給への想いを後押しをしてくれて力が入っていると、入谷さんは話してくれました。

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18年前、悩み抜いて選んだ“農業”という仕事。
「真夏の収穫とかしんどいと思う事はあっても、やめたいと思った事は一度もない」と入谷さん。
そんな入谷さんの一番のやりがいは、お客様が喜んで下さること。お客様ありきのしごとだから、喜んでもらえるようにたくさん野菜を作っていきたいと仰っていました。

(訪問日 2021/03/31 文・撮影 太田萌子)

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