無農薬で余計な窒素分がないと虫が来ない?静岡県浜松市で無農薬農家を営む和久田さんを再訪問

生産者インタビュー

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いた農家さんは、炭素循環農法でおいしい野菜を育てている静岡県浜松市の和久田さんです。今回が2度目の訪問となります。

前回の記事はコチラ

前回に引き続き、1グラムに20億の微生物がいる牛糞堆肥や、野菜が育つフワフワの土、野菜に虫が寄りつきにくい秘密などを伺うことができました。

また、大きく育ったたくさんのお野菜を見学させていただいたり、野菜づくりで和久田さんが大事になさっていることもお聞きすることができました。

牛糞はバニラの香り?

ーーこんにちは。お久しぶりです(笑)
和久田さん「こんにちは(笑)」

ーーここはなんですか?
和久田さん「ここはね、堆肥場。牛糞の。この中に微生物がいて、1gの中に20億くらいいます。」

ーー1gに20億!?
和久田さん「この堆肥を作った酪農家さんが検査したら、そういう結果になりました(笑)」

ーー凄い!
和久田さん「1年くらいかけて、熟成させます。牛の食べさせる餌のせいか臭いがしないのですよ。」

ーー堆肥が変わっているのですか?
和久田さん「そうですね。かなり、変わっていると思います。ホームセンターで売っているのとは、全然違いますね。」

ーーカサカサですね。本当に臭くないです。
和久田さん「そうでしょう(笑)こうやって、ビニールをかけると、元々臭くはないですが、バニラに近い成分が入っていまして、ビニールをはがすといい香りがします(笑)これはしないかも?」

ーーバニラですか(笑)
和久田さん「これ、見てください。これは、放線菌といいます。この菌は、空気が必要な菌です。こういうのを繁殖しやすいです。最初にビニールをかけて、中間の菌を増やしてあげて、その時にビニールを外すと空気が入って、好気性の菌が増えます。」

ーー他の菌はどうなるのですか?嫌気性の菌とかは?
和久田さん「下の方にいますよ。層になるようにします。一番下の方は、本当に嫌気性の菌です。全て、調和した状態にしたいです。森とか林が、そうなっているらしいです。それぐらいに、微生物の量を増やしていくと野菜ができますね。」

ーーなるほど。
和久田さん「その辺のバランスや量がマッチすると、上手く野菜が出来る。実際に野菜を植えていくと、根っこに対して適した菌が付いて、増えていって、共生関係が出来ていって、やればやるほど、土が良くなります。とりあえず、ここの説明はこれくらいで(笑)」

ーーはい(笑)

植えた後は放置で育つ?!

和久田さん「ここは、今から植える土地です。」

ーー凄いフワフワですね。本当に土ですか(笑)
和久田さん「元々は、赤土です。ガチガチの。始めはガチガチで、畑の中に空気が欲しいので、もみ殻とかそういうのを入れて、落ち葉、竹、あとはソルゴを砕いた物、こういう物を入れていくと、空気が入れますね。もみ殻はよく入っています。手に入りやすいので。あとはおが屑です。大体、そういう物を使っていますね。」

ーー土が他の農家さんと全然違いますね。
和久田さん「そうですか?やり方は色々あるみたいですが、私はこういうやり方しか知らないです。この土は、菌がどうやって繁殖しているか見るのにいいのですよ。ちょっと掘ると、すぐ水でしょう。保水力が違うのですよ。菌が生きているので、自分で水を持ってきます。」

ーー菌が自分で?すごくシットリしていますね。
和久田さん「だから、水をやらないですね。」

ーー植えたら水をあげますか?
和久田さん「いや、ほとんどやらないですね。水は作物にもよりますが、ほとんどやる物はないですね。私の場合はね。植える時に、水をたっぷり入れてあげて、後は放置(笑)」

ーー放置ですか(笑)放置で出来るのですね。
和久田さん「放置で出来ますよ。」

ーー凄い!
和久田さん「作物はこっちには、あんまりなくて。向こうの方に、これからだとワサビ菜とかラディッシュとか。レタスはもう終わりですね。ラディッシュはちょっと大きいと思いますよ。」

ーーはい、大きかったです。
和久田さん「肥料で栽培するよりも、このやり方の方が大きくなりますね。」

ーーへぇ~。

無農薬で余計な窒素分がないと虫が来ない

和久田さん「あまり虫も付きませんし、余計な窒素分を吸っているわけではないですから。」

ーー綺麗ですね。
和久田さん「農薬はかけてないです。」

ーーなんか不思議ですね。虫が付かないなんて。
和久田さん「自然農法でも虫だらけっていう所もありますからね。」

ーーそうです。その違いってなんですか?
和久田さん「そうですね、結局は堆肥が肥料として吸ってしまうと、余計な窒素分が葉とか実に付いてしまって、それを虫が食べにくるらしいです。」

ーー和久田さんのやり方だと、それがないって事ですか?
和久田さん「このやり方だと、そうですね。全く虫が付かないわけじゃないですけど。極端に付きにくいって事です。ちょっと弱ってしまうと、食べられますけど。」

ーーなるほど。
和久田さん「私も不思議です(笑)このやり方を教えていただいて、6年目になります。野菜を見ていきましょうか。」

ーーはい、お願いします。

普通より大きい野菜がたくさん

和久田さん「これはジャガイモです。木がだんだん倒れてきたので収穫時期ですね。」

ーー早いですね。
和久田さん「ハウスの中でやったので。1月くらいに植えて、もういい時期ですね。」

ーーハウスでジャガイモって珍しいですね。
和久田さん「この辺りではやりますね。あれは、花が咲いていますがルッコラです。もう終わりですね。適当に葉っぱを千切って食べてみてください。」

ーールッコラ美味しいです。
和久田さん「こっちは、ズッキーニとラディッシュです。」

ーーラディッシュ大きいです!
和久田さん「そうですか?やっていると、だんだん普通の大きさがわからなくなってきますね。」

ーー大きいですよ。普通の物はもっと小さいですよ。
和久田さん「世間の野菜の常識はわからなくなっていますね(笑)」

ハウスから車で露地の畑へ移動

ーーここの畑はさっきの畑より土がフカフカですね。
和久田さん「柔らかいでしょう。塊みたいのはないですよ。水捌けもよくて昨日、雨が降ったのですが、もうひいていますね。ここ全体が、すごく水捌けがいいのですよ。これはジャガイモ、男爵です。」

ーーそうなのですか。
和久田さん「これはホウレンソウです。」

ーーこれも大きい!
和久田さん「大きすぎるっていわれちゃって(笑)だからと言って、味が大味ではないですよ。一番、大きいのを食べてみてください。」

ーー見た目が大きいので、硬くてえぐみがあるかと思ったのですが。甘いですね!美味しい。
和久田さん「ここの場所がいいみたいですね。ホウレンソウ、もしよろしければ持って行ってください(笑)」

ーーいいのですか。ありがとうございます(笑)試食をしてみて、どの野菜を食べても、えぐみがないですね。
和久田さん「えぐみというのは硝酸性窒素で、それが虫や病気が付く原因です。ここの土の中にはほとんどないですね。」

ーーえぐみは、ホウレンソウが一番分かり易いですね。
和久田さん「窒素分っていうのは、植える直前に米ぬかをちょっと入れるぐらいですね。こっちに、タマネギがあります。」

ーー新タマネギですね。
和久田さん「新タマです。タマネギの大きさはこれくらいです(笑)」

ーー普通くらいです(笑)やっぱり、少し大きいかも(笑)

「野菜づくり」より「環境づくり」

和久田さん「まだ、試行錯誤しながらやっています。私は、作物をつくっていますが、どちらかというと土づくりを一生懸命行っています。」

ーー野菜作りより環境を作ったってかんじでしょうか?
和久田さん「そうですね。環境を整え続けたら、こうなったかんじですね。自然に出来てきたと(笑)なんでこうなったか、わからない事もありますね(笑)」

ーーあまり、一般に知られていないですけど、炭素循環農法って凄いですね!今日1日で実感しました。
和久田さん「実際、微生物はよくわからないですね。目に見えないので。理屈みたいのは、ありますが、その通りに出来ているかは難しいですね。」

ーー今日はありがとうございました。また色々、教えてください(笑)
和久田さん「はい、また来てくださいね(笑)」

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