信念を貫く無農薬!愛媛県宇和島市の中井さん訪問

生産者インタビュー

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、自然ならではの苦難を乗り越えて、あるいは共存しながら、無農薬で作物を育てる愛媛県宇和島市の中井さんの農園です。1度はやめようと思いながらも、有用微生物群のEMを使用して、活性液をつくり散布するなどして土づくりをする自然農法との出会いで立て直したお話などを聞かせて頂きました。

他にも、農園が山中にあるが故の野生動物問題や、無農薬へのこだわりなどを教えて頂きました!

健康的な土はもみ殻とミミズから。雑草を利用する畑の姿

ーーはじめまして。本日はよろしくお願いします。
中井さん「よろしくお願いします。」

ーー今は何をされていたんですか?
中井さん「もみ殻を下の方にいれているところですね。」

ーーもみ殻をですか?下の方って、土の下ってことですか?
中井さん「そうそう。もみ殻を入れると土の通気性がよくなったり、根がよく張ったりしていいんですよ。これを1年2年寝かしておくと、もみ殻が腐植していって土の中に有機物も増えるので土も健康的になります。」

ーー土の健康、ですか?
中井さん「そうです。土も乾燥させないとボロボロになるので。通気性がよくなれば乾燥しやすくなりますし一石三鳥ですね(笑)」

ーーそうなんですね!わ、触ってみると結構土が柔らかいです。これはもみ殻のおかげなんですか?
中井さん「まぁそれもあります。どれか1つのおかげというより、色々な効果や要因が重なってという感じです。例えばここらの土なんかはミミズが多いんですよ。」

ーー畑にミミズは重要ですよね。
中井さん「いなくてはいけない存在ですね。」

ーー草は刈ったりするんですか?
中井さん「刈らなくていいなら刈らないほうがいいので、時と場合によってですかね。」

ーーじゃあ逆に刈らないとって思う時はどんな瞬間ですか?
中井さん「畑とか家の中に生えてきたときですかね(笑)主人は刈りたがるけど、刈らなくていいなら刈りたくないのが本音です。雨が降った時なんかは雨よけとか土流失防止になりますし。小雨ならいいけど、大雨の時は主人に刈らないでって言っています」

ーー確かに。草が生えている畑は土があまり流失しないって聞いたことがあります。
中井さん「そうでしょう。草が茂って、根を張ることが1番、土が流れ出ないので。」

ーーやっぱり根っこって大事なんですね。
中井さん「ええ、本当に。それに上に草があると夏場は陽ざし避けになって、みかんの木が弱らないので、それもあって刈りたくないですね。」

ーー確かに。水分も少し含んでいるので日よけとなれば、少し涼しいですからね。

山中の畑の受難!野生動物との付き合い方

ーーイノシシ以外に動物って来るんですか?
中井さん「ヘビとか来ますよ。」

ーーヘビ!それって怖くないですか?
中井さん「そりゃ、めちゃめちゃ怖いですよ。でも怖がってばかりいたら農家出来ないので、警戒しながら作業しています。」

ーーヘビは怖いですね・・・。
中井さん「他にはウサギなんかも来ますね。」

ーーウサギも来るんですか!?かわいー!
中井さん「でもウサギも中々厄介なんですよ。みかんの芽を全部噛みちぎっていくから、大きく育たなくて。」

ーー芽を全部?食べていくんですか?
中井さん「食べてはないんですよ。本当に噛み千切るだけで。多分、歯が痒いんだと思うんですけどね。ナイフですぱっと切ったように芽をかみかみするので、ウサギが噛み千切ったあとは綺麗に芽がなくなっていることが多いです。」

ーーうわ~。ウサギは可愛いですけど・・・やることは可愛くないですね。
中井さん「ん~あとはサルですかね。向こうの山までは来ているので、こちらまで来ると困りますね。イノシシもみかんを食べに来ます」

ーーあ、イノシシは知ってます。確か、人が皮をむいたようにみかんを食べるんですよね。
中井さん「よく知ってますね。そうなんですよ。牙で上手にくりぬくようにして、皮だけ剥いて実を食べるんです。私なんかはしょっちゅう皮も食べたらいいのにって言うんですけど、皮は食べないんですよね。」

ーーこのかかっている網はカラス避けですか?
中井さん「ああ、そうですよ。網をしていなかったらカラスに食べられてしまうので。」

ーー全部ですか?
中井さん「食べごろのやつだけ食べていきます。」

ーーそれは・・・タチが悪いですね(笑)
中井さん「カラスは色が見えているので、食べごろかどうか色で判断しているんです。なのでまだ時期が早くて黄色かったり青かったりすると来ないんですよ(笑)」

越冬するカメムシによる被害と消毒をしない理由

ーー農家をやっていて大変なことってありますか?困ったこととか。
中井さん「そうですねぇ・・・。カメムシが湧くので、それを隣の畑の人とかいやがるのとかは、少し困っていますね。病気を移されそうって。」

ーーカメムシですか?
中井さん「ええ。台風の風で飛んできたカメムシとかが居座るんですよ。それに最近のカメムシは越冬するんですよ。冬が暖かいせいなのか死ななくて。巣を作ってずーっと畑にいるんです。」

ーーそれは確かに困りものですね。
中井さん「でしょう?特にみかんが好物なのかよくみかんに湧くんです。でも農薬を使うとうちでは商品にならないので」

ーーイノシシといいサルといい、みかん人気ですね。
中井さん「人から人気が欲しいです(笑)でもカメムシにも習性があって、少し食べると隣に移っていくんですよね。だから全部食われることがないんですけど。」

ーーそうなんですね!面白い習性ですね。
中井さん「でもうちは徹底して消毒はしないから、とある区画は全滅したことがあるんです。カメムシって、みかんを吸って食べるんですけど。沢山吸われたみかんは落ちるんですね。なぁんでみかんがこんなに落ちているんだろうと思ったら、吸われたところが赤くなってるみかんが絨毯のようにずーっと続いていてね。」

ーーひぇ・・・。それ、私だったらめっちゃ肝が冷えます。
中井さん「私もその時は驚愕しました。でも畑が全部食われるってことはないんです。消毒をするとね、カメムシが飛ぶ時ふらふらってするんです。なんでかって、消毒で神経やられているから。それでそのまま死ぬんです。それ使うくらいなら、って思うんです」

ーー神経が・・・。それなら落ちるほうがいいのかなぁって思います。最初みかんで無農薬って聞いてびっくりしました。
中井さん「そうでしょう。中々無農薬でやっている人はいないんですよ。大変だから。」

ーー収穫はいつ頃なんですか?
中井さん「収穫ははやくて9月。遅くとも10月ですかねぇ。ここに生えているのは極早生なんです。よく極早生は美味しくないっていうけど、そんなことない。美味しくない場所に植えてある極早生が美味しくないだけで。ここの極早生は美味しいですよ。」

ーーうわ~、食べてみたいです!はやく収穫の時期にならないかな。

農業をやめる寸前を打開した自然農法と、基本は何もしないこだわり

ーー40年もここで無農薬、自然栽培を続けていらしているんですよね?
中井さん「そうなりますねぇ。」

ーー今までで1番大変なことってなんでしたか?カメムシが湧くことも含めて。
中井さん「そうですねぇ。やっぱり、先生がいないことですかね。ここは20年くらい前にヤノネカイガラムシっていう朽木にすむ虫が湧いたんです。でも私は頑固だから枯れても消毒はしない、無農薬で続けていたんです。」

ーーその状況になっても無農薬を・・・。
中井さん「自分の中で農薬と化学肥料は使わないって決めていたので。でも100本くらい木を駄目にした時、もうやめようって言ったんです。枯れる理由も、対処もわからなくて。これをしたら駄目だよ、というのは教えてもらえるんです。でもこうしたらいいよ、こういうのがあるよっていうのは教えてくれる人がいないんですね。」

ーーそれは・・・心がくじけそうです。
中井さん「自然農法は基本、自分で研究していかないといけないので教えるのも難しいところではあるんですけどね。でも私は運が良くて、その時にEM農法があるよって教えてもらったんです。」

ーーそれって確か、糖蜜を加えて有用微生物群の働きを活性化したものを利用する農法ですよね?
中井さん「よくご存知で(笑)活性水はミネラルが豊富なので、微生物を元気にすることが出来るんです。枯れた枝などを切って、EM活性液の希釈したものを上からじゃぶじゃぶかけて葉とか磨いたら、もう枯れるだけだろうって言われていた木が1年で蘇ったんです。まるで土が蘇ったように生き生きとしてね、木も葉が沢山茂って」

ーーもう枯れるだけだろうって言われていた木に緑が宿ったらすごい感動します。
中井さん「ええ、本当に感動しました。1番大変でしたけど、だからこそ1番やったぞ、という気持ちになりましたね。だけどそれに頼りきって作物を育てたくはないので、なるべくそれを使わずに育ててはいます。」

ーーすごい・・・。何もしないのがこだわりって感じがします。
中井さん「そうですね。何かするのがいいように取られがちですけど、私はそうじゃないって思うんです。やっぱり何もしない自然が大事なんじゃないかなって。もちろん、愛情は注ぎますけどね。」

ーー貴重なお話、ありがとうございました。
中井さん「いえいえ。今日は遠くからわざわざありがとうございました。」

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