少量多品目でおいしい野菜をつくる!無農薬農家の愛媛県今治市の野村さんを訪問
今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、有機栽培でおいしい野菜を育てる愛媛県今治市の野村さんの農園です。
ミミズやダンゴムシ、微生物が住みやすい土を自分で1から作った野村さんに、農業をはじめたキッカケや苦労、今後の目標などをたっぷり伺いました。
その他にも、ビーツのオススメの食べ方のお話や、珍しいヤーコンを見学することもできました!
荒れ地から野菜づくりスタート!
ーー本日はよろしくお願いいたします。
野村さん「よろしくお願いします。」
ーーこちらで農業をはじめられて、どのくらい経つのでしょうか?
野村さん「5〜6年くらいですね。最初ここは荒れ地になってたので、色々整地とかをして準備しました。井戸水はそっちの山の麓からのもので、通路の両脇を掘って配管して、ハウスなどを建てたりしました。大体2年くらいで今の形になったという感じですね。」
ーーすごい、本当に1からされたっていうことですね。
野村さん「そうですね。以前の所有者は動物をされてたり、タバコをやってたっていう話もちらっと聞いたことがあります。」
ーー現在は、お野菜を無農薬で栽培されているんですか?
野村さん「基本的には無農薬で、自然をできるだけ活かすような、肥料とかもなるべく減らした有機栽培ですね。基本は露地野菜とハウス野菜と、柑橘ですね。」
ーーなるほど。
ハウスを見学
野村さん「こちらがハウスです。」
ーー台風のときは大丈夫でしたか?
野村さん「あ、はい、なんとか。まぁもう、どの野菜もほぼ終わりかけの状態です。」
ーーあ、でもナスがこの状態の農家さんを、私知らないです。
野村さん「あ、そうですか?例年なら11月いっぱいくらいまで粘れたりするんですけど、今年は夏場の暑さで疲れちゃったのか、ちょっと早いなあって感じですね。一回切り落として、できるだけ限定して養分が行き渡るようにしたりしています。」
ーーこれ、ここを周りを囲っている意味ってなにかあるんですか?
野村さん「あ、それはネキリムシとかが、小さいうちに株ごと切ってやられちゃったりするので、それを防いでます。ナスとかトマトとかピーマンは収穫時期が長いので、一株無くなると結構困ってしまうので。手をかけても良いものに関しては、こうやって虫の侵入を防いだりしています。」
ーーなるほど。土がすごいフワフワなんですが、なにか工夫されてるんですか?
野村さん「やっぱりモデルは山の土ですね。こうやって藁を敷いて・・・あ、ダンゴムシがいますね。」
ーーほんとだ〜!めっちゃいる(笑)
野村さん「もっと暑い時期だと、もっとたくさん居ますよ、ブワーッと(笑)
まあ極力、微生物とか、ダンゴムシとかミミズとか、そういうものが住みやすい環境にするっていうことで、藁を全部敷いています。
藁を敷くことで草抑えにもなるし、暑さ対策と寒さ対策両方いけますね。
だから夏野菜に関しては藁を敷いておいて、冬野菜に関しては藁を全部通路にどけておきます。
そうして全て循環するような仕組みを作っています。「宇宙」って表現される人もいますね(笑)」
ーーそうなんですね。炭素循環農法とはまた別になるのでしょうか?
野村さん「あ、そうですね。また別ですね。」
ーー他の炭素循環農法をされてる農家さんにお話を聞いたところ、同じように「宇宙」という表現をされていたので(笑)
野村さん「まあハウスに関しては、最初は動物系肥料を入れてますね。露地に関しては入れたり入れなかったりですね。動物系肥料はできるだけ減らしたいと思ってますけど、土がまだそんなにいい状態じゃないので、何十年かたって土がいい状態になってきたら動物系肥料は辞めようと思ってますけど、一番最初に入れた後にきつくなってきて、1〜2年前に牛糞をどかっと入れた感じですね。」
ーーありがとうございます。
珍しいヤーコンを見学!
野村さん「これヤーコンなんですけど。」
ーーすごい、私はじめて見ました。
野村さん「あ、本当ですか。本当は3棟たててあったんですけど、台風で倒れちゃったりして。あと、ヤーコンは暑さに弱いですね。去年はじめて作ったんですけど、黒マルチでやってみたんですけど、暑さしのぎでシルバーマルチに変えてみたりしたんですけど、それでも今年の夏は雨も少なくて、これだけしか残らなかったですね。」
ーーがんばってくれたんですね(笑)
野村さん「そうですね(笑)種も去年から残してやったやつなので、来年に向けて種は残せると思います。ちょっと残念な感じではあるんですけど、でも頑張ってくれましたね。」
ーー敷いている草は、生えてるのを枯らして使ってるんですか?
野村さん「僕は草生栽培の方のところにも勉強させてもらいに行ったこともあるんですけど、すべて草生栽培にするつもりはなくて、悪いものでもないので、中途半端な形で活用しています(笑)ここに関しては、台風のとき倒れてしまって、ただまだ掘り上げるときまでは放っておこうと思って、草管理についてもそのときにやろうと思ってます。」
ーーなるほどです。
野村さん「基本的には土は裸にしたくないので、草はある程度キープするか、長過ぎたら管理するようにして、敷草とかにしますね。土が裸になるのは、露地栽培で耕した直後だけで、あとは敷いてる感じですね。」
ーーそういった工夫をされているんですね。
ビーツのオススメの食べ方
野村さん「こっちがビーツですね。」
ーービーツって今の時期もできるんですか?
野村さん「ビーツはですね、結構そこまでどこにでもある野菜じゃないので情報もまばらなんですけど、書いてあるやつによってはかなり収穫時期や種蒔き時期も長いし、寒さにも強いです。
基本的な話をすると、うちは少量多品目でやっていて、お客様のご自宅に直接宅配する形でやっています。飲食店もあるにはあるんですけど、基本的には個人のお客様のご自宅に定期便で届ける形でやらせて頂いてるので、端境期で品薄になるのはなるべく無いようにしています。どうしてもきつい時期は、冬場に加工品を作ったりして、なんとか品目数を確保するようにはしています。
だから結構、秋の端境や春の端境になりそうなとき、ビーツは結構役立ちいますね。」
ーーなるほど。ビーツは、野村さん的にはどんな食べ方がオススメですか?
野村さん「去年はじめて作ったんですけど、なんだろうなあ・・・」
ーー私、がんばってもボルシチしか出てこなくて・・・他に無いかなと思いまして(笑)
野村さん「そうですよね(笑)うちではビーツはシンプルにオーブンで焼いて食べています。」
ーー別の農家さんに伺ったときは、茹でたビーツにハチミツをかけて食べると意外と合うっていうのを聞いたことがあります。
野村さん「そうなんですね。」
農業をはじめたキッカケと今後の目標
ーー農業をやろうと思われたキッカケを教えて頂けますか?
野村さん「もともと飲食をやってまして、そこから海外へ留学したりしたんですけれど、その当時はお酒とか音楽とかパーティが好きだったので、そういったお店を自分でやりたいなあと思っていました。
25歳くらいのときにカフェバーみたいなのをやったんですけど、色々あって閉めることになりまして、もう少し料理の勉強をしたいなと思いまして、客単価が高いような、富裕層向けのお店で勤めさせていただきました。そこで素材にすごく興味を持ち始めました。」
ーーそうなんですね。
野村さん「そんなとき震災や原発事故があって、名古屋じゃなくてもいいのかなっていう気持ちが芽生えてきました。そのとき、たまたまニュースで農業の給付金のことを見たんです。
それまで、農業は自分とは縁遠いと思ってたので、そのニュースで新規でも農業を始められることを知って、自然の中でというのと素材というのがそこで組み合わさった感じになりまして、当時つきあっていた交際5ヶ月の彼女(現在の奥様)を説得して、強引に始めたという感じですね(笑)」
ーーそうなんですね、いい奥さんですね〜(笑)
野村さん「そうですね、妻は農業自体にはあまり関心ないんですけど、ゲストハウスみたいのはやりたがっていて、いずれは農家民宿みたいなのをやろうと話しています。
だから、今後もちょっと頑張っていかないといけないですね(笑)」
ーー(笑)本日は貴重なお話をたくさん聞かせていただきまして、どうもありあがとうございました。