オーストラリアから神様が見守る土地へ!和歌山県和歌山市で無農薬農家を営む播本さんを訪問

生産者インタビュー

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、和歌山県和歌山市で無農薬農家を営む播本さんの農場です。

ホームステイ先のオーストラリアで農業に出会うなど、異色の経歴をお持ちでした。

そんな播本さんに、野菜作りへの想いや苦労をたっぷりと伺いました。

無農薬農家3年目の播本さん

——農業を始められてどのくらいになりますか?

播本さん「今年で3年目に入りました」

——もともと農業をはじめられるまでは何をされてましたか?

播本さん「元々はアディダスの販売員をしていました。

音楽の道を目指してたんですけど、オーストラリアでプレイしたくて、ワーキングホリデーで1年暮らしました。

それで、一応は食い込んだんですけど、趣味と仕事の両立が難しくなって……。

やっぱり趣味だった音楽を仕事にするっていうのがなかなか難しかったんですね。

その後、日本に一度帰って、東京かニューヨークへ行くか、もしくはもう1年オーストラリアに留まるかって選択する流れになったんです。

ワーキングホリデーの制度でファームステイというのがあって、農場でお手伝いをすればセカンドビザで滞在期間を1年延長することができるんです。」

——そんな制度があるんですね。

播本さん「そうなんです。それでなんとかオーストラリアにもう1年滞在したかったので、ファームステイに応募して、運良くオーガニックファームに食い込めたんです。

最初は農業には全く興味なかったんですけど、オーナーが日本人の方で、やっていくうちにだんだん面白くなっていきました。

農業って音楽と似てる部分があって、完成されていない部分とか、日々進化していくところがあると思うんです。やり方ひとつで決まった答えがないというか。」

——たしかに、農家さんによってこだわりとか全然ちがいますよね。

播本さん「これまでと同じことをしててもつまらないし、自分で良い野菜を作り上げるということに魅力を感じました。

音楽で空間を作っていくのとも似ていますね。まあ、そんな感じでたどり着きました、ここに(笑)」

——和歌山県は播本さんの地元とかになるんですか?

播本さん「いえ、これも音楽関係なんですけど、知り合いの子が住んでて、お爺さんが亡くなったから農業をやってくれないかと言われまして。めぐりめぐってって感じですね。」

——畑はすんなり借りられましたか?

播本さん「そうですね、私有地だったんで直接借りに行ったんですけど、やる気あるならってことで貸してもらえました。元は田んぼだったんですけど、最初はめちゃめちゃ荒れてましたね。」

——元々は田んぼだったんですね。

播本さん「そうですね。もっと前は沼地で、お米はすごい美味しいですね。ただその後は果物系をみんなやり始めて、ここの畑はスイカとかやってたみたいですね。」

「神様の山」が見守ってくれている

——目の前の山も良い景色ですね。

播本さん「この山は神様の山って言われてて、山を越えると有名な神社があるんです。

山の上に住宅を建てる計画があったんですけど中止になったり……。ただ、農業は唯一許されてる職業として認められてて、守らているような気もします(笑)」

——神聖な土地なんですね。

播本さん「そうみたいですね。僕も来てから知ったんですけど(笑)

当分はここを拠点に果実とかもやっていきたいと思ってますね。アボカドをやる計画もあったりします。」

——アボカドって国産でできるんですね!

播本さん「そうですね、岡山でずっと力を入れてたみたいなんです。下の畑で自然農法をやろうかって話をしてて、無農薬無肥料でできたら良いですよね。」

——オーストラリアで働いていた農家さんは自然農法だったんですか?

播本さん「有機系のオーガニックですね。リンゴとか衝撃的だったんですけど、めちゃくちゃうまかったですね(笑)その時の体験が農業はじめたきっかけだったりもしますね。全然ちゃうやん!みたいな。

セカンドビザが切れたとき、もう日本でやるしかないと思いました(笑)」

——その行動力がすごいですね(笑)

子どもが苦手な野菜も、食べれるようになった

——今は自然農でやられてるんですか?

播本さん「野菜によって分けてるんですけど、買ってるのはえひめAIやバイオビズっていうヨーロッパで主流な植物系の有機肥料ですね。

それらをブレンドして、力が無くなってきた野菜にやっています。基本的には自然農法です。」

——なぜそのやり方にしようと考えたんですか?

播本さん「う〜ん……。まず一番は、自分の手で作るものは自分が作りたいってところですね。子どもが食べれなかったのに食べれるようになったとかいう感想を聞くと嬉しいですね。」

——その瞬間が一番うれしいですか?

播本さん「そうですね。食べ物は受け継いでいくものだと思いますし。あとは日本の原点っていうのもありますね。今は無くそうとしてますけど、守っていきたいというのがあります。」

——たしかに農業は大事にしていかないといけませんね。

播本さん「そうですね。誰かの規則に従って生きるんじゃなくて、自分の規則で生きていこうと思える人がひとりでも増えたらいいかなと思ってます。」

——逆にやってて心が折れそうになることはありますか?

播本さん「やっぱり獣害ですかね。お米とか全部やられたこともあるんですよ。壊滅してしまったときは、正直もう辞めようかなとか……(笑)」

「卒業生」を増やしたい

——今後、この農園をこうしていきたいとか、こういう大事なところは伝えていきたいとかはありますか?

播本さん「やっぱり興味ある人に来てもらうことですね。今も社員という形で1人いるんですけど、そういう形でどんどん来てもらって技術を吸収して独立してもらって、この農場がキッカケじゃないけど、そういう人が増えていったらいいかなと思ってますね。」

——卒業生みたいな?(笑)

播本さん「そうですね(笑)いっぱい卒業生が増えたらいいかなって思います。」

——播本さんは空気感が独特ですね……(笑)

播本さん「そうですか?ゆるい?(笑)野菜にもそれが出てるかもしれません(笑)」

——最後に、お客さんに一言ドーンとメッセージをお願いします。

播本さん「一言ですか。なんやろ……でも、『楽しく作ってます』っていうのが伝わったらええかな(笑)しんどいことも確かに多いけど、喜んで作ってるので、それが伝わってほしいですね。」

──本日は、どうもありがとうございました。

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