標高680メートル!山の上でトマトを育てる高知県長岡郡の杉本さん訪問

生産者インタビュー

今回ココノミスタッフが訪問させて頂いたのは、標高680メートルの山でトマトやピーマンを育てている高知県長岡郡の杉本さんの農園です。山の上ならではの悩みや大変さ、そしてトマトや土にかけるこだわりなどを聞かせていただきました。

他にも夏秋産地特有の悩みや有機栽培ゆえの肥料選びの大変さなどを教えて頂きました!

標高680メートルで育つトマト

ーーこんにちは。今日はよろしくお願いします。
杉本さん「はい。よろしくお願いします。」

ーーそれにしても・・・標高が高いですね。
杉本さん「山ですからね(笑)」

ーーここで何メートルくらいになるんですか?
杉本さん「ここで680メートルくらいになりますね。」

ーーなるほど。ここに植わっているのは・・・トマトですか?
杉本さん「この辺は全部トマトですね。」

ーー他には何か育てていますか?
杉本さん「夏の時期はトマトとピーマンだけになります。」

ーーふむふむ。この品種のトマトを選ばれた理由とか・・・こだわりとかってありますか?
杉本さん「こだわり・・・。中玉のトマトだとフルティカなどの品種がありますが、酸味のあるトマトの方が僕は好きっていう理由ですかね。」

ーーなるほど。
杉本さん「あとフルティカは人間と同じように夏場は水分がいっぱい必要になるんです。なので、雨とか天候に左右されてトマトの糖度が落ちてしまうんです。だから糖度が落ちても美味しい味にしたいなって思ってシンディースイートを栽培していますね。」

ーーそれで酸味のあるトマトを・・・。
杉本さん「そうですね。フルティカは糖度が高くて美味しい分、糖度が落ちると頼りない味になってしまうのでそれも理由ですね。」

ーー天候はもう人の力ではどうしようも出来ないですからね。山の上だと冬に野菜を栽培するのは厳しいですか?
杉本さん「厳しいですね。寒さが結構きついのでここの寒さに耐えられる野菜っていうのがホウレンソウくらいしかないんですよ。なので今は2拠点になってしまっていますが、他のところで畑を借りて冬でもニンジンとか別の野菜を育てていますね。」

ーーそれでは多品目の野菜を育てるというよりは、育てる品目をある程度絞って栽培している、という感じなのでしょうか?
杉本さん「基本的にはそうですね。」

ーー冬はニンジンを育てているって言ってましたけど、他の野菜も育てていますか?
杉本さん「冬だとニンジンの他にゴボウを栽培していますね。元々はトマト栽培だけで始まったので、ちょっとずつ品目を増やしているところです。」

有機栽培ゆえの悩み!カリウムの有機液体肥料を自作

ーー農業を始める前から有機でやろうと思っていたんですか?
杉本さん「そうですね。最初から有機でトマトを育てようと思っていました。」

ーー最初はやっぱり難しかったですか?
杉本さん「今でも難しいですよ(笑)使いたい資材があっても使えなかったりするので、難しいなって思います。」

ーー肥料とかですか?
杉本さん「はい。トマトも人間みたいにマグネシウムやカルシウムなどの栄養が必要なのです。その中でも特にカリウムがトマトに多く必要なんですけど、カリウムの有機肥料ってあんまりないんですよね。」

ーーそうだったんですね。初めて知りました・・・。
杉本さん「しかも数少ないカリウムの有機肥料って固形物が多いんですよ。ホウレンソウみたいに一回の収穫で終わるものはそれでも構わないんですけど、トマトは春に種を蒔いてから冬の始めまでずっと収穫するので、どうしても途中追肥しないといけないんです。追肥するとなると、固形の肥料より液体の方がいいんですよね。」

ーー追肥だと液体肥料のほうが楽ですよね。
杉本さん「そうなんです。だからカリウムが含まれる有機の液体肥料がほしいのですが、なかなか手に入らなくて。そういう難しさがありますね。」

ーー想像の倍は大変ですね・・・。
杉本さん「あはは(笑)なので今は自分でカリウムを溶かして液体肥料を自作していますね。」

ーーそれでだいぶ変わりましたか?
杉本さん「結構変わりましたね。カリウムは本当にたくさん必要なので液体肥料にしたことで、作業もだいぶ楽になりました。」

余計なものはいれずそのままの土で育てるこだわりの方針

ーーこれはピーマンですか?
杉本さん「そうですね。だいたい10月くらいまでピーマンは栽培しています。」

ーーへぇ~!あ、さっきも思ったんですけど、ここって赤土ですか? 
杉本さん「この辺の土は赤土ですね。土自体がすごく良いので、病気とかもあまりしないですね。なので、どの品目でも美味しい野菜が出来ると思いますよ。」

ーーおお!赤土ってすごいんですね。
杉本さん「ただ粒子が細かいので、なかなか土が退かないから根菜は見栄えがあまりよくないのが出来るかもしれないですけどね。」

ーーそうなんですね。土になにか混ぜて土壌改良とかは・・・?
杉本さん「うちの最近の方針では土壌改良はしないですね。それこそ昔なら堆肥とか混ぜていたんですけど、今は土に余計なものを混ぜない方針でやっているんです。」

ーー土本来の、というものですか?
杉本さん「そういう感じになるのかな?なので、栽培し終わったトマトの茎や葉はそのまま粉砕して土に還す、などはやりますけど、何か混ぜて土壌改良はしていないですね。」

山の上で農業をする大変さ

ーー農業を始めて何年になりますか?
杉本さん「もう10年ほどになりますかね。」

ーー10年!その前はどのようなお仕事をされいたんですか?
杉本さん「その前はSEとしてプログラミングをやっていましたね。」

ーーおお。全然違う職種だったんですね(笑)山の上だといろいろ大変ですけど、10年前どうしてここを選ばれたんですか?
杉本さん「おじいちゃんおばあちゃんがこの辺りに住んでいて、帰省で田舎に帰るときにここに帰ってきていたんですよ。それでこの辺りで土地借りてやろうかなって。」

ーーまったくの見知らぬ土地よりは、見知った土地のほうが、まだ勝手がわかりますもんね。家から畑まではどのくらい時間がかかるんですか?
杉本さん「家から1時間くらいかかります。」

ーー1時間!?うわぁ~・・・結構かかりますね。それが毎日ですよね?
杉本さん「毎日ですね。」

ーーどのくらいの頻度で出荷作業はされるのでしょうか?
杉本さん「出荷も毎日ですよ。」

ーー毎日!それは大変ですね・・・。人手が欲しいところですね。
杉本さん「そうですね(笑)やっぱり山の上なので、人を雇うのは大変です。」

ーーそれは・・・。山の上に畑がある故の悩みですね。
杉本さん「いまただでさえ人手不足なんですよね。少人数の正社員と多数のアルバイトがいればもうちょっと効率よく作業ができるんですけど、なかなかここまで来てくれる人がいなくて。限界集落といわれるくらい町自体に人がいないんですよ。」

ーー確かにここに来るまで、家ってあまり見かけなかったです。
杉本さん「人も家も少ないですね。あとはここ夏秋産地なんですけど、忙しい時期が夏に集中するんです。」

ーー夏秋産地特有の悩みですね。夏というと7月、8月くらいですか?
杉本さん「8月、9月くらいですかね。それで短期雇用がすごい欲しいんです。だけどその数カ月だけ来てほしいってなると余計に人がこないんですよね。去年来てくれていた人も、9カ月くらい空いてしまうと他のところで働き始めているので、安定して継続した人員を確保できなくて。」

ーーそれは・・・大変ですね。今日はお忙しい中たくさんお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
杉本さん「いえいえ。こちらこそありがとうございました。」

ーーまた今度、冬に育てている野菜を見に来ますね!
杉本さん「ぜひぜひお待ちしております。」

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